俺の提案、それは亮が真幸の
初恋の相手になることだった。
そう、真幸の初恋の相手はこ
の俺だ。
うわぐつを取り上げられて、
木の上にひっかっかって泣いて
いた。
それが真幸。
それを、木に登って取ってやっ
た。
その事が、真幸の中で初恋と
して刻まれていくなんて
思ってもいなかった。
俺は、あの日の前から、
ずっと真幸を見ていたから。
俺の方が真幸に惚れたのは
先なんだ。
この事を真幸が知ったら、驚く
だろうな。
真幸のことだ。
きっと泣きだすに決まってる。
そんなことを考えては15年目の
約束の日を待ち焦がれてた。
でも、それは叶わない。
真幸の泣く顔も、驚く顔も
もう俺は見届けてあげられない。
その役は、亮にまかせるよ。



