「そうか、わかった。先にテーブルに行っててくれ。カウンター行ってくるから。」

『急いでよねっ!』

アルスはカーラを置いて、一人でテーブルまで行き、置いて行かれたカーラは微笑みながらついて行こうとした。

「カーラ。」

不意にリグルに呼び止められ振り返る。

「何ですか?」

「カーラのことは、カーラ自身から話しておいてくれるか?あいつ聞き出したらしつこいからなぁ。」

リグルは頬をかきながら、参ったとばかりに下を向く。

「ふふっ、わかりました。話しておきます。」

ありがとう。とリグルは言うとカウンターの方に向き直った。

「朝食を頼みたいんだが。」

「あっはい。ちょっとお待ち下さい。」

サラは忙しそうにカウンター内を歩き回り、数分後にリグルの元に来た。

「リグルさん、おはようございます。」

「おはよう。今日は忙しいみたいだな。」

「いえいえ、今日に限ったことじゃありませんよ。毎朝こんな感じです。」

苦笑しながらも、この仕事にやり甲斐を感じているようだった。

「と、言うと?」

「このギルドは、通りすがりの旅の方によく利用されます。それで、夜泊まって朝出発する方や朝食のみの方もいます。」

確かに周りには、昨晩とは違う人ばかりだった。