『ねぇ、宿まだぁ?また野宿じゃないよね?』

時間は午後11時頃。

空の国、オステンのとある街。

子ライオンの姿をしたカペラ、アルスは足元で愚痴をこぼす。

「お前が騒がなかったら、さっきの宿で決定だったんだぜ?」

アルスを睨みながら言葉を吐き出す。

『さっきはごめんって。でも宿主のおばさんが「あなたのカペラ?可愛いわねぇ。ランク3くらいかしら?」って言うから…』

「『僕はランク4だ!』って言いながら喚いた。だろ?」

リグルは呆れながら言う。

『ランク3と4じゃあ全然違うんだから。市場で売られるのは3で闇市は4と5だよ。僕は貴重なんだ!』

ふふんと偉そうに胸を張り歩く。

「そうだな。」

(ほんとは覚醒したらランク6まで上がる、父さん力作のカペラだって、言ってもわかんないだろうな。)

苦笑しながら宿を捜そうとしたときだった。

後ろから気配を感じた。

「アルス」

『わかってる』

既に水色の瞳を暗く光らせ、街角のある一点を見つめていた。

『数人の男、荒い息遣いと一人の女の子、多分…追われてるね。』

「どうする?」

ニヤリと笑いかけると、アルスも牙を見せ笑う。

『助けるお礼に一晩泊めてもらおうか?』

「あぁ。」

そう話していると、目的の女の子が角を曲がりリグルに縋り付いた。