次の日。

「はぁ~~。」

「どうした?塔子。」

エプロン姿が似合う兄。

「いや~別に~」

「いってきま~す」

ふらふらと学校に吸い込まれていくように登校する中学校の生徒。

「あっ!!塔子ちゃ~~~ん!!」

大きな声、大きく振る手が、周りからたくさんの注目を浴びている。

正直、他人の振りをしたかった。

「おはようっ!!」

「あ、おはよう。」

「昨日は大丈夫だった?超心配したんだよ!!」

マジな目であたしを見てくる。

ある意味怖かった。

教室に着くと、美樹があたしの席を案内してくれた。

あたしと美樹は、前後の近い席だった。

美樹が隣の人や、近くの人を紹介してくれる。

次々と、あいさつをさせられる。

「それで、塔子ちゃんの左隣が、えっと、真田くん?だよ」

「えっ!?」

真田という言葉を聞いて、頭の中に昨日の場面が思い浮かぶ。

真田くんと保健室で笑い会った時間。

まだ覚えてる。

そして、先生のあの言葉。

=真田君が運んでくれたのよ!=

思い出した瞬間、顔が熱くなるのを感じた。

「・・・よぉ。」

あ・・昨日と同じ顔だ・・・。

林檎みたいに真っ赤な頬。

「あ、うん、おはよう。」

「ありっ!?二人とも知り合い!?」

「あ、昨日、真田く・・・」

「お、おい!!霧島!!クラスメイト紹介してやるよ!!」

なんか、すごく慌てて必死に美樹からあたしを奪い取る真田君。

な、何!!!???

「あ~うちが紹介してたのにぃ~」

ぐいぐいとあたしの手を引っ張る真田君。

なんか・・・怒ってる???