あれから日にちは経ちあと少しで7月の中旬だ。
笥箕には正体をバラしたからもうあたしには構わないだろうと思っていたがどうやらその考えは間違いらしい。
「萌架ちゃーん!!」
ほらね。
今は登校時間であって騒がしい下駄箱にいるのだが…この騒がしい中、どんだけの大声をだしてるんだ!ってツッコミたくなる…。
しかも正体をバラしてからの方がさらにあたしにベッタリな気がする。
そして毎朝恒例になりつつある、ハグ。
普通ならあたしの方が身長が低いから笥箕の腕の中に収まるのだが笥箕は背を屈めてあたしの胸元辺りに顔を埋める。
その姿は愛くるしい…。
あぁー…もう飼って側にずっと置いておきたいくらい…。
…ってこの思考、かなりヤバいですね。
ハァ…とため息をついていると後ろから抱きしめられた。
…ぅん?
笥箕のつけてる香水とは違う香りだけど…この匂い、知ってる。
「…萩斗?」
振り向かずに聞いてみれば
「正解☆」
と耳元で甘く囁いた。
「やっぱ萌架の抱き心地最高♪」
満面の笑顔な萩斗にあたしも笑顔が零れた。
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