「アゲハの素顔を見るかアゲハの本名を教える…のどちらかなら帰るよ」


これまた面倒な…。


「どっちも無理」


あ、そうだ。


「ハッキングできないなら本人に教えてもらおうって? 案外、情けないね」


冷たく言い捨てて倉庫に入ろうとすれば…


「悪かったな…。 じゃとことん調べさせてもらうわ」


それだけ言って狼龍は帰っていった。




結局何がしたかったんだよ…。


痛くなりそうな頭を押さえながら倉庫の中へと入った。




───…一方、狼龍は…。


「あの感じさー…前怒った時の萌架に似てなかった?」


と萩斗。


「あぁ…あの時の?」


苦笑いで返した姜希。


「たしかに…似てましたね?」


思い出すような感じで頷きながら言う充。


この三人が言っているのは前、下駄箱のところで萩斗と姜希が争っていた時のこと。


その場にいなかった煉弥と拓真はハテナマークを掲げていた。


「…な、充。 萌架のことも調べたら?」


そう姜希が言って頷いた充…に反発する煉弥。


「なんで萌架を調べんだよー!!」


その叫びは空に消えていった。





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