………あ。


「そういえば…荒乎の目的ってなんなの?」


すっかり忘れてたよ。


「んぁ? あぁー………」


言葉を濁す感じで目を泳がせている煉弥。


姜希と萩斗もそうだ。


「…充? 荒乎の目的は?」


充だけは何も言わずあたしと目も合わせなかった。


渋々といった感じで口を開いた。


「萌架」




………ハイ? あたし?


怪訝そうな顔をすればもう一度『萌架』と言ったのだ。


なんとなく記憶を巻き戻しして………あ。


「もしかしなくても…姫?」


聞いてみれば返ってきた答えは


「そのもしかしなくてもだ」


あたし…なんで目ぇつけられなきゃなんない訳?


ちょっと悲しいんですけど…。


そんなあたしを余所に


「大丈夫!! 萌架は俺ら"狼龍"が守るから」


と煉弥。


間接的に狼龍の姫と言ってるようなものだ。


胡蝶のことでもイラついてるあたしにその言葉は…地獄への片道切符のようなものだ。


「姫になんかなる気はない!!」


そう叫んであたしに抱き着いてきた煉弥の鳩尾を殴って学校を出て行った。





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