5月下旬─転校してから約一ヶ月後─の朝。


兄貴・煉弥は用事があるとかで珍しく朝早くに家を出て行った。




あたしは遅刻ギリギリの時間に家を出て学校に向かったが………何やら嫌な感じがする。


曲がり角の数メートル手前で立ち止まった。


すると曲がり角から出てきた数人の族に入っていそうな不良。


………ん?


こいつら…見たことある?




「アンタが狼龍の"姫"ねぇ? ま、見合うだけの見た目だよな。 アンタに恨みはねぇけど…少しの間、眠っててもらうよ」


そう言ったのと同時に一斉に襲い掛かってきた男達。


「───…遅い」


鳩尾に一発、回し蹴りで顔面に一発、背負い投げで一発…と襲い掛かってきた男達を返り討ちに☆


それにしても…こいつら、あたしのこと"狼龍の姫"って言ってたよな?


どういうことかじっくり聞かなきゃいけないな?




『萌架から電話なんて嬉しす「今どこにいんの?」


騒ぎ立てる煉弥の言葉を遮り居場所を聞いた。


『屋上にい「あたしが行くまでそこから動かないでよ」


また煉弥の言葉を遮って返事も聞かずに電話を切った。





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