そんなあたしの考えを充は分かってたみたい。


「萌架?」


優しい声色に涙が出そうになる。


今泣いたら…離れるなんてできなくなる。


だから泣いちゃダメ。


言い聞かせてるのに溢れる涙は止まらない。




何も言わず涙を流し続けるあたしに痺れを切らしたのか突然、顎を掴んで上へ向けた。


何をするのかと思いきや…涙が溢れて止まらない目元に唇を近づけたかと思うと舌で舐めた。


「ッ!?!?!?」


その後は涙が流れた頬に口づけをして…。


予想外のことに涙も引っ込んだ。


それを見てフッと極上の笑顔をあたしに向けると


優しく唇を重ねた。


角度を変えて何度もそうするうちに息苦しくなり口を少し開ければその隙間から舌が入り込んだ。


「…ッ……み…つ……」


必死に抵抗するが気にも止めず、それどころかキスは深くなっていった。




数分後…ようやく離れた。


「過去のことも分かってる。 だけど…萌架がいなくなる方がよっぽどツライ。 だから…離れていくなよ」


初めて聞いた充の本音。


その言葉であたしはもう二度と離れないと決めたのだった。





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