関係ないだろうと思いながらも萩斗と他愛のない会話をしていた。


だがあたしの願いは儚くも散ったのだった。


「ねぇねぇ、そこの転校生ちゃん♪ ちょっといい?」


「はい。 なんでしょうか?」


話し掛けてくるんじゃねぇぞ…という心の声とは正反対な態度─笑顔─で答えた。


その瞬間───…




ギュウッ


力強い圧迫に包まれたのだった。


「先輩ー。 この子、オレのなんで♪」


甘いバニラの香りに包まれてあたしの耳元でそう言った。


見上げるとその声の主はあたしに満面の笑顔で抱き着いていた。


って姜希!?


自分の顔、鏡で眺めてたんじゃなかったの!?




「姜希ー? 何言ってんの? 萌架はオレのだよ♪」


何、萩斗まで参加してんだ!!


しかも余計に話をややこしくするなよ!!


ギャイギャイ言い争いをしている二人を尻目に先輩を見るとポカンとしているではないか。


ったく…この状況をあたし一人でどうしろと?


拓真はマジ寝してるし…。


まぁ起きてたところでいい方向になるとは思えないけど。


なんて考えてるとまた騒がしくなった廊下。





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