濡れた体温ごと奪って-Ⅱ-



「紗耶。どうした?」


「…翔ちゃん」




待つ事少ししてから、翔ちゃんは私の前まで歩み寄って来てくれた。


ごめんね…翔ちゃん…。




「あ、うん。差し入れ持って来たんだけど…余計だったかな…」


「…いや。それだけの為にわざわざ電車で来たのか?」


「……うん」




本当は、違うんだよ。


だけど言えない…翔ちゃんを信じてなかったなんて…言えないよ…。