夜の9時になり、漸く翔ちゃんが帰って来た。 「翔ちゃん、おかえり。ねぇ、どこ行ってたの?」 「ああ。ちょっとな」 ちょっとなって、なんだろう。 やっぱり仕事じゃないんだ。 どこに行ってたのか、言えないなんて…どこだろう…? 言いにくい所…? 「あ、ねぇご飯まだだよね。一緒に食べよう?」 「そうだな。普段料理しねぇから、味の保証はできねぇぞ?」 「味なんて、どうでもいいんだよ。作ってくれた事が嬉しいんだもん」 翔ちゃんが私の為に作ってくれた。それだけで十分なんだよ。