濡れた体温ごと奪って-Ⅱ-



「翔ちゃん?どうしたの?泣いてるの?」


「…いや……気にするな」




我ながら情けねぇ…。


俺、こんなに涙腺弱かったっけな…。




「翔ちゃん…私ならもう大丈夫だからね。絶対に、翔ちゃんを置いて死んだりしないから…」


「……紗耶」


「だから、翔ちゃんもだよ。翔ちゃんのお仕事は命懸けの仕事だから…何が起きてもおかしくないんだもん…」




紗耶は立ち上がると、俺の頭をそっと抱きしめた。