濡れた体温ごと奪って-Ⅱ-



リビングのソファーに座らされ、翔矢さんは私の前でしゃがんで視線を合わせてくれる。




「…出て行こうとしたのか」


「…だって…私…何も思い出せないし…何も出来ないし…」


「…まだ一ヶ月も経ってねぇのに、焦る必要ないって言っただろ」




わかってる。


わかってるけど…こんなの…とてもつらくて…。


このままじゃ、お互いの為にならいんじゃないかって思って…。