『タマっ……また、また絶対会えるから!泣くな!』 遠ざかる車の窓から身を乗り出して叫ぶ彼の顔が、涙で滲んで見えなくて。 立っていることが精一杯。 何か叫ぼうとしても、思うように喉が震えてくれなかった。 10歳の私にはあまりにもショックが大きくて、彼がいなくなったことを理解するのも時間が掛かった。 ただ、彼が泣きそうな顔で、声で私に手を振るから、それが移って私も泣いた。