「あ、おばちゃん!この浴衣素敵じゃない?」

百合子が取ったのは大人っぽい黒地に大柄のききょうの花柄の浴衣。

「わーいいじゃない!似合う〜おばちゃん買ってあげる!」

え、ちょっとまって
さっきから百合子の浴衣しかみてなくない?

「まじで!やったぁありがとー!彼氏に早くみせたいわー」

素早く試着してくるっと鏡の前で喜ぶ百合子は本当に綺麗でまさに百合子の為に作った浴衣みたいだった。

レジへお母さん達は向かって行った。

なんか、あたし惨め――

試着室に写る私はまるでタヌキみたいで別に太ってるわけじゃないのにね、好きでこうなったわけじゃないのにね、

そういえばさっきから皆私を指差してる。

ほらヒソヒソしないでもいいし。
いつもだったら何見てんの?
って言えるのに。

どうしたんだろ。

「みあー!みてみて!買ってもらっちゃったぁ」

「すげー!よかったねぇ!彼氏も喜ぶんじゃなぁーい?」

肘でからかうように突いた。

「えへへ、そうかなぁ」

「うん。似合ってたし!」

まー、ホントの事だしね
作り笑いとか得意分野だし?

「ほら二人ともいくよ!」

「…え、お母さん私の浴衣は?」
「でももうおばちゃんだって夕飯の支度しなきゃだし」

「ほら百合子はよくわかるね〜みあもわがまま言わないで」

「そ、そっか!わかった」

…もう

やだ。