「あっ、あのね。私、村上君に渡したいものがあって―――」 俺が一人、自問自答を繰り広げていたら、麻衣が口を開いた。 「………」 わ…渡したいものって…… もしかしてチョコ!? この麻衣の言葉で、俺の小さな悩みなんてどうでも良くなって、すっげぇ満たされた気分になった。 ゴソゴソとバックをあさる麻衣。 「えっとね、あの……―――」 「ただいまぁ」 「――っ!!」 一階から聞こえる姉貴の声に反応した麻衣。 その時。 麻衣の頭に、ピーンとレーダーのようなものが見えた気がした。