密室の空間に、緊張が増す―――。
私は担任からもらったメモに視線を落として、冷静を装った。
早くこの場を去らないと……。
てか…なんで和弥がここにいるんだよ!?
一人戸惑っていると、長い指が視界に入って、メモとともに消えた。
「あっ…」
それはもちろん和弥で、私が持っていたメモに目を通すと、次々と棚から本やらファイルを取り出した。
「はい」
「…えっ?…と…」
「探す手間が省けたな。これ、去年俺も頼まれて探したんだよ」
あん時は苦労した…と、資料を私の手に乗せて笑った。
……うわっ
わ、笑った。
和弥が、笑った。
和弥の笑顔は初めてじゃないのに、なんだか宙に浮くみたいに変な感じだ。

