映画は私が好きな俳優が出てるシリーズ物。
途中からはスクリーンに釘付けになって、私だけ飲み物が余ってしまった。
ポップコーンは和弥に無理矢理食わせた。
「面白かったーっ!麻衣ちゃん、ありがとうねっ」
「いえっ、私も面白かったです」
ああ、麻衣ちゃんのこの笑顔……癒される。
これが生意気な拓海に向けられると思うと、何だか悔しい。
「じゃあ映画も終わったことだし、私は帰――」
「おい凜」
「………何」
「お前は俺に付き合え」
私のほんわかした気持ちを一気に崩した和弥。
「は?私はもう帰るって」
「ポップコーン押し付けた罰。今度は俺の我が儘に付き合え」

