それからの私は平和ではなかった。 廊下から聞こえる悲鳴のような女子の声。 その中を颯爽と歩く和弥。 「なんとも憎たらしい笑顔」 「まぁたそんなこと言って」 「あの背中に蹴りを入れたい」 「ははっ凜らしい」 前に比べて、和弥が廊下を通ることが多くなった…気がする。 今まではただ五月蝿いとしか受け止めていなかったのに、最近は歓声が聞こえる度に廊下を見てしまう自分がいた。