「…って。和弥に感謝って、なんか調子狂うし…」 「…俺も調子狂う」 「………」 「………」 「………」 「だから…調子狂うっつーの。そんな素直になられたら――……」 動けなかった。 暗示でもかけられたような、金縛りにでもあったような。 まっすぐに私を見る和弥の瞳。 そっと温かい感触が頬に触れて、和弥の顔が近づく。 和弥の瞳に映る自分が、大きくなって――― ああ、本当に整った顔……なんて、冷静に思う私。 「…っ!」 お互いの唇が触れるか触れないかの時だった―――。