“辛かった”……か。
そんな事、私が言ってはいけないけど…
「一番辛かったのは…亜由美だよ」
「凜…」
和弥は、抱きしめる腕の力を少しだけ強くした。
「あのさ、」
「ん?」
「俺、思うんだけど…お前はその亜由美って奴のこと、見捨ててねぇじゃん」
「………」
「引っ越して、携帯まで変えられたなら―――」
「違う」
強く言い切った私に、和弥は黙り込む。
すっぽりと腕に収まっている私から、和弥の表情は見えない
「違うんだ…」
「………」
確かに亜由美は私達の前から姿を消した。
強制的な引っ越しではあったけど。
……でも。
「本当は、知ってるんだ。…亜由美の引っ越し先」

