波一つ立てず、月明かりに照らされた海は本当に綺麗―――
時間が止まってしまった様な感覚にとらわれた。
「見たかったんだ…凜と」
「…………私と?」
「そ。……にしてもやっぱ寒いなぁ…。……あ」
和弥は何かを見つけたのか、私を包んでいた腕が解放されて、和弥の体が離れた。
「えっ…どこ行……」
急に離れられると寒いんですけど―――
和弥は私の言葉も聞かず、どこかへ歩き出した。
その先にあるものは飲み物の販売機。
もしかして……飲み物買ってくれんの?
二人分の飲み物を買った和弥は、走って私の所まで戻ってきた。
「ほら……飲めよ」
そう言って渡されたのは、あの時と同じホットコーヒーだった。

