ザッと見渡しても、図書室にいる生徒は十人にも満たない――― 相変わらず静かなとこだな。 地味な私は図書室に馴染みやすいけど、生嶋は図書室が似合わない男だ。 何てったってバスケ部期待のエースだし、明るくてクラスの中心的存在。 正直ウザいって思うときもあるけど、それでもこいつに勉強を教えるのは、一言でいって生嶋はいい奴だからだ。 何事にも全力投球で、誰にでも優しい――― 「…そこはこの公式を使って……」 「うんうん」 だからお願いされても断れなかった。