彼は多賀谷弘樹。ごくごく普通の医大生。

かといって特別頭がいいわけでもなく、これといった取り柄もない。

彼にあるのは「正義は必ず勝つ!」と言わんばかりの正義感ぐらいである。

そして今日も道端の落ちてるゴミを見つけては拾ってゴミ箱に捨て、いつものように大学の講義に出席する。

当然のことながら彼は無遅刻無欠席である。

(男子学生)「よっ、弘樹。」

(弘樹)「やぁ、うえちゃん。」

弘樹に話しかけた彼は上田彰太。弘樹の大学友達である。

(彰太)「あ〜あ、もうすぐテストだぜ〜気分落ちるわぁ………」

(弘樹)「仕方がないだろ。テスト受けなきゃ単位もらえないんだから。」

(彰太)「そうだけどよ〜……あ〜本番はカンニングでなんとかしよかな〜。」

その瞬間弘樹の顔が急に険しくなった。

(弘樹)「カンニングなんて不正は許されないよ。」

弘樹はそういって彰太を睨み付ける。

(彰太)「じょ、冗談だよ!そんなことしないって!」

彰太は慌てて自分が言ったことを否定した。

(弘樹)「ならいいんだけど。そんなの悪い奴のやることだし。僕は悪い奴が嫌いだ。」

(彰太)「そ、そうだよな……はは………」

彰太は弘樹のあまりの正義感に愛想笑いを浮かべていた。