コイアイ〜幸せ〜

カタン。

俺は静かに立ち上がった。



「ちょっと先輩方、自分たちが相手にされないからってヒガミは醜いですよ?奪う実力もないくせに」


彼女たちから、つかの間、会話が消えた。

立ち上がった俺の横から、市田が現れたんだ。

その言葉の内容に、俺もびっくりした。




「突然なんなのよ、美波さんには関係ないでしょ」


「そうよ、山下チーフに可愛いがられてるからって調子に乗ってるんじゃないの?」


「市田、あんた生意気よ、女に嫌われるタイプね」


止まっていた時が動き出したように、女の子達は、一様に不機嫌となって市田を責める。


「悪口はヒガミの証拠ですよ?まぁ、私は可愛いからなにを言われても平気ですけどね。根性まで醜くなったら、益々・・・クスッ」


数々の攻撃に、すがすがしいほどの笑顔を向けてサラリと受け流す。


市田、負けてねぇ、むしろ怖えぇよ・・・。


「お昼休み終わっちゃう!イチゴミルク買っていこっと。あっ、早見チーフ!無駄に女の恨みを買わない方がいいですよぉ、スルーが一番ですから」


本当だな。
俺は、市田を敵にまわさない方がよさそうだ。
可愛いだけに、そのギャップが恐ろしかった。