コイアイ〜幸せ〜

「好きな人を、自然に目で追いかけるなんて、恋愛の基本ですよぉ。では、早見チーフ、失礼しますね」


市田は、可愛らしい笑顔で俺に会釈すると、さっさと自分のデスクに戻って行った。

扉の外に一人取り残された俺は、気持ちまで取り残されたみたいだった。



俺が・・・、つららさんを好き・・・?






・・・そうだな。
俺は、知っていたかもしれないな。

・・・多分、知っていた。


ただ、自覚しないようにしていただけだった。


「この関係が、居心地よかったのか」


独り言が漏れた。


本当に好きだったから、この関係が崩れるのが怖かったのか。

好きだと自覚して告白した所で、彼氏がいるつららさんとギクシャクとするよりは・・・。

たとえ付き合ったとしても、別れてしまえば、この関係には、もう二度と戻れない。
なにかしらの感情が邪魔をして、この関係は、崩れていく。


隠し通そうと思っていたのかもしれない。

けれど、会社の女の子に気づかれる位に、表に出ていたなんてな。


はっきり言って、失態だ。

ただ、出来るのであれば、この気持ちは、つららさんに気づかれないようにしようと思っている。