「いい企画出してんじゃない。頼りにしてるわ」


「はいっ!ありがとうございます」


社内の雑音の中、私は、ブロジェクトの冊子を机に置くと、部下の佐々木君に向かって微笑んだ。

今回も、上手く行きそう。


「プレゼン用に企画、まとめておいてね」


「りょーかいです」


はぁ、なんか可愛いなぁ。

佐々木君の後ろ姿を見て、私も緊張がとれたのか、少しだらしなく椅子に座る。

「やっべ、山下チーフに誉められちゃったよ」


「マジで?いいなぁ」


遠くの方でそんな声を耳にしながら、 ペンの先を口の端につける。

部下を伸ばすのに、褒めるって良いことよね。

なんて、一人前に教育論なんかを思い浮かべてみたりして。




「おーい、つららさん。またお前のファンを作ってどうするんだよ?」


ふと見上げると、いつも目にしている顔がそこにあった。