コイアイ〜幸せ〜

「恋だの愛だの、まったく面倒ですね」


俺は、うんざりとした気分で戸口に手をかけた。


「お前にはわからないのか?ふざけた野郎だな、こんな奴に振り回される身にもなってみろ。上司じゃなきゃ、殴っている所だ」


後ろから、まるで上司に対する発言とは思えない言葉が聞こえる。


結局、わかりあえないもの同士が何を話しても、平行線になってしまうのは仕方がないのですね。


でも、こうして馬鹿正直につっかかってくる人は嫌いではありません。


「邪魔な存在でしょうが、貴方の腕はかっていますよ。俺は、仕事に私情は挟みませんから」


「そんなことは知っている。嫌な野郎だ」


部屋を出て戸を閉める時に、彼のつぶやきが耳に残る。



知っている、ですか…。



そういう所が少し秘書に似ているなと、俺は密かに笑いをこらえた。