コイアイ〜幸せ〜

初めて彼女を見た時は、俺がこの職場で挨拶をした時だったと思う。


山下つららは、どちらかと言えば不審感を抱いていた視線だったと思う。


綺麗な顔をした女の一人。


俺とは深く関わらないだろう社員の一人。


その印象が変わり始めたきっかけはなんだったのだろう。
そうだ、上がってくる報告書に、えらく的確にまとまっている書類をみた時だったと思う。
上がってくる企画も面白いものが多く、気がつけば、その企画書をまとめていたのも山下つららという名前だった。


何度か目につく名前。
顔だけではない、頭の回転も速いんだと関心したのを覚えている。


それでも、仕事ができる社員は彼女以外にたくさんいた。


このポストにつき始めた頃の俺には、まだこの会社に居場所なんてなかった。
当たり前だ、社員からのしあがってきたわけではなく、あたえられたポストだったからだ。


けれど、ここの社長と知り合いということもあり、海外から帰国した際、やってみないかと声をかけられた時に、何よりも自分の力で会社を動かしてみたいという欲求があった。