美波ちゃんに言われちゃったなぁ。
自覚って、一体なんの事なんだろう。



「お〜い、つらら。聞いてるか?」


なんとなく、なんとなくだけど突っ込んでおきたい。


「宗助さん、貴方はいつから私のことを呼び捨てにしているんでしょうか」



「今から。理由は俺がそう呼びたい」



はい、そうですか。
って、宗助だって知っているでしょ。

私は、彼氏にしか呼び捨てを許していないんですけど。
私なりの小さなこだわりだったんだけどな。


今までずっと、さん付けだったじゃない。


そもそも、なんで宗助は私を執務室から連れだして、わざわざランチなんか一緒に食べているんだろう。


最近はめっきり紅茶をいれるのが上手くなって、お昼休みの一杯が私の密かな楽しみなのに。




「なんかもうどうでもいいよ。好きに呼んでくれていいから」


「そっか、良かった」


29歳、時々子犬系か、このやろう。
いつもは、大型犬のくせに。


はぁ、私は宗助の、少年のような笑顔に弱いんだな。


「で、なんだったっけ」


「やっぱり聞いてなかったか、週末に遊びに行こうって話」