私はウキウキした気持ちで、目の前のパソコンを凝視する。
いつもよりキーを打つスピードが少し早いかもしれない。


ウフフッ、今日はみんなと飲み会、飲み会!
美味しいお酒なんて、めっちゃ楽しみ!



「山下さん、今日はやけに楽しそうですね、何かいいことでもあるんですか」


すぐ隣から、やけにフェロモンたっぷりな声で話しかけられる。

最近、距離が近いです。
無駄にかっこいいので止めて下さい。


「さぁ、なんのことでしょうか」


とりあえずとぼけてみる。

この人は、まったく!
私の感情を読まないで欲しい。
悪魔に、私のプライベートは関係ありませんから。



「俺には関係ないことのようですね」


心の中で、うんうんとうなずいてみる。


「では、追加でこの書類をまとめてもらいましょうか」


顔の横から、ひらひらと紙の束が視界に入る。

一週間後に開かれる議会の質問書ですよね、コレ。
別に、今日やらなくても全然問題はないですよ?

こんなのやってたら、今日の飲み会に間に合わないっつうの。


これかっ、これが噂のパワーハラスメントか!