コイアイ〜幸せ〜

彼は、時計を見ながら優しく私に言った。


「はいっ、すごく嬉しいです」


勇気を出してよかったぁ。
車に乗せてもらえるなんて。


「あと10分位で会社を出ますから、駐車場で待っていて下さい」


な、なんか一歩前者した感じがするよ。

こんな年下の私ですが、少しは期待してもいいんですか?


私は、夢ならまだ醒めないで、と願いながら帰り支度をして駐車場にむかった。

そこにはすでに、あの人がいた。


「どうぞ、市田さん」


彼にドアを開けられて、その優しさにキュンとなる。
彼の車種は、ベルファイアの黒い車だ。

もしかして、ドライブとかが好きなのかなぁ。





「お疲れさまでした」


山下秘書が軽くお辞儀をしながら、私たちの横を通り過ぎた。

私を見ても彼を見ても、なんの感情も出さずに、ただ自然と挨拶をして通り過ぎていく。


かなりいらついてしまった。

私のことなんて、眼中にはないんですか。

私、これから松本さんの車に乗るんですよ?
二人きりなんですよ?

だけど、それがどうしたのと言わんばかりの余裕を見せつけられる。

チラリと見た松本さんも、特に変わった様子はみられなかった。