トゥルル・・・ トゥルル・・・
携帯電話の着信音が聞こえる・・・。
誰のだろう・・・、私のじゃない・・・。
目をつぶって耐えていた私の身体から、人の気配が離れた。
「もしもし、ユウコか。今忙し・・・」
『もしもし、愛人の携帯から失礼します。尾田さんの所に、うちの山下秘書がお邪魔していると思いますが』
尾田直人の携帯から微かに漏れてくるその声・・・。
「松本、どうしてこの番号を・・・」
電話に出た尾田の声も、動揺を隠せないようだった。
私だって動揺してる。
『ですが、この番号が、一番警戒しないでしょう?』
『俺の情報網は完璧です。とにかく、詳しいことは後にしましょう、今うちの部下がむかっています、無駄な抵抗はせずに、すみやかに入れたほうがいいですよ』
プツリと、通話が切れた。
あまりにも状況が飲み込めずに、私たち二人の動きが止まる。
「尾田社長、面会の方がおみえになっております。失礼ですが、鍵を開けさせていただきます」
無機質な声が、扉の向こう側から聞こえる。
そして、応接室の扉が、ゆっくりと開いた。
