恋風船



夏祭り当日―


待ち合わせ場所に行くと島田だけがいた。


「坂本くんっ」


笑顔で俺を呼ぶ。


「私服かっこいいね」


そんな恥ずかしい言葉をサラっと言えるのは何でだろう。


「島田こそ浴衣すっげー似合ってるよ」


言おうと思ったわけじゃないけど言わずにはいられなかった。


「あ、体育祭の時のタオル遅くなったけど返すよ、ありがとうな」


持っても恥ずかしくないようにコンパクトにして袋にいれた。