ヒビキの洋館を前にすると、いつもその大きさに圧倒される。
当人は大したことはないと言っているが、あまりに大きいため、洋館はご近所じゃ化け物屋敷と呼ばれているのだ。
この大きさだ。俺も思わず頷いてしまった。
一人で勝手に頷いていたので、スズナに不思議そうな顔をされた。
しまった。今日はこの子のために、化け物屋敷に来たんだった。
俺は誤魔化すように笑って、洋館のベルを鳴らした。
ブー。ブツッ。
古臭い音がする。
『ああハイハイ。いらっしゃーい。どなたですか?』
「カガリだよ」
『ハイハイ。今行くよ』
そう言った瞬間に、目の前にオレンジ色の髪をした男が現れた。もちろん、ヒビキだ。
俺は馴れていたから驚きはしなかったが、スズナには刺激が強かったらしい。俺の後ろに回って、背中から顔を出しヒビキを見た。


