ギラリと刺すような日差し

暑さを掻き立てるセミの声

子供たちのはしゃいだ歓声

ぬたりと体にまとわりつく風。


『夏休み』をつくる全ての要素が、うとましいと ヨータは思っていた。



高校三年生のヨータは卒業後は、実家のケーキ屋を手伝う。



店は住宅街のなかにひっそりと建っている。


店先には、ガーデニングが趣味の母が手入れしている季節の花々が、色鮮やかに咲き誇っている。


こじんまりとした店だが住宅街のマダムご用達で、平日でも結構賑わっている。


この店で四月からは後継ぎとして修業をするのだ。