異臭が漂う部屋にサヨナラを告げて,彼の手が差し出されるのを待っていると。 「生意気な女。」 嫌みを言われて腹が立ったけど。 それでも隣を歩きたいのは,彼を愛してるから。 「車?」 「まさか。」 一度履いたパンプスを脱ぎ捨てた私に,差し出されたサンダル。 重い扉を開いた後,湿り気を含んだ熱風が吹き込んできた。 ―fin―