「それ、どうしたの、杏。
片翼……ひどいケガだ」




血に塗れて
なんとも痛々しい翼



僕がそれにそっと触れると
ヌルッとした血が確かについた




「ケガっていうか、もげた。
神様があなたにはもう会うなって」




「……僕に?じゃあなんで来たの?
来なければいいのに」




「あなたって馬鹿よね」




「杏の方が」





僕が見上げてそう言うと
杏は少し、悲しそうに微笑んだ