それは暑い暑い夏の日のこと。 本日最後の嫌がらせとばかりに頬を照りつける夕日に私はうんざりしていた。 「何でバスなかなか来ないのよ……」 蝉の鳴き声を伴奏に、思わずそんな悪態が口をついて出た。 本来ならば5分間隔でやってくるはずのバスを待つこと、すでに30分。 私の目の前に立つそいつに書かれている時間をとうに過ぎている。 嘘つきバス会社め。 額に浮かぶ汗を拭いつつ、そいつから目をそらした。