「あー、今度は騒がなかったぞ」
「おとなしくしてたわよ」

 ラムルダの機嫌を計るような二人の発言に、彼は幾分表情を緩めた。
 それを見て取ったとたん、メディアとミレド2世がほとんど同時にたずねた。

「王子は?」
「ロランツは?」

 ラムルダはおだやかに微笑んだ。

「自分の目で確かめてごらん」

 彼は扉の前から、体をずらすとメディアを通す。
 が、後を追おうとした王を制して、若き魔法使いの長は首を振った。

「しばらく二人だけに」

 王は苦笑すると、人の心を見透かすかのような眼差しをラムルダに投げかけた。

「損な役割だな」

 ラムルダは虚をつかれて、王を見返した。ためらうように言う。

「一杯、やりたい気分ですね」

「つきあうぞ」