「心配には及びません。メディアが何かしでかしたようですが、たいしたことはありませんよ」

 不安がっていると言うよりは、興味津々というふうの王をなだめるために彼は平静を装う。しかし、その胸中は千々に乱れていた。

(やはり、一人で行かせるべきではなかったのだ。あれが、彼女をおびき寄せるための罠であった可能性は高い。だが、自分かあるいは他の者がついて行っていたところで、どうなったのだろうか。彼女の足手まといになるだけだったのかもしれない。だが、メディア、君の身に何かあったとしたら)

 そう思った瞬間、心臓が痛んだ。張り裂けるかのように。

「ちょっと様子を見てきましょう」

 そう、ここでああでもない、こうでもないと、考え込んでいても始まらない。実際に出向いて、何があったのか確かめに行くなり、手を貸すなりするのが、一番手っ取り早い。

 気は急いていながらも、ラムルダは慎重に言葉を選ぶ。この好奇心の塊のような王なら、事態がややこしければややこしいほど、喜び勇んでついてきかねないのだ。

「彼女なら心配ないでしょうが、助けがいることもあるでしょう」

 はたして、王は青い瞳を子供のように無邪気に輝かせる。おねだりモード全開である。