その気色悪いものの中をよじ登ったり、自分の身体を通り抜けられるように、押しのけたりする作業を二十分ばかり続けただろうか。
粘液で体中をべとべとにしながらも、部屋の中央にたどり着いたメディアはすっかりばてて、息が上がっていた。
目前には金色の輝く水晶球がある。
(ロランツ……)
メディアはそっと手を伸ばすと、水晶球をすくい取った。日頃の彼女のがさつな動作からは考えられないほど、優しげに胸の中に抱きしめる。
(よかった)
無意識のうちに口から漏れ出たため息は、心からの安堵によるものだった。なんのかんのと言いながらも王子のことを心配していた彼女でもあったのだ。
と、とつぜん部屋が揺れた。
否、部屋中を満たしている気持ち悪いものが蠢いているのだった。その動きは獲物をもとめる触手そのもの。
「何なのよっ!」
思わずメディアは悲鳴じみた声を上げた。たちまちのうちに、それは彼女を押し包み、身動きを封じる。下手をすると、自分まで巻き込まれてしまうことも忘れて、なかば恐慌にかられたメディアは炎の呪文を投げかけた。
が、それはまったく威力を発揮しなかった。
うごめく触手は呪文の魔力を吸収し、自らのエネルギーと成したのだった。
粘液で体中をべとべとにしながらも、部屋の中央にたどり着いたメディアはすっかりばてて、息が上がっていた。
目前には金色の輝く水晶球がある。
(ロランツ……)
メディアはそっと手を伸ばすと、水晶球をすくい取った。日頃の彼女のがさつな動作からは考えられないほど、優しげに胸の中に抱きしめる。
(よかった)
無意識のうちに口から漏れ出たため息は、心からの安堵によるものだった。なんのかんのと言いながらも王子のことを心配していた彼女でもあったのだ。
と、とつぜん部屋が揺れた。
否、部屋中を満たしている気持ち悪いものが蠢いているのだった。その動きは獲物をもとめる触手そのもの。
「何なのよっ!」
思わずメディアは悲鳴じみた声を上げた。たちまちのうちに、それは彼女を押し包み、身動きを封じる。下手をすると、自分まで巻き込まれてしまうことも忘れて、なかば恐慌にかられたメディアは炎の呪文を投げかけた。
が、それはまったく威力を発揮しなかった。
うごめく触手は呪文の魔力を吸収し、自らのエネルギーと成したのだった。

