魔女の報酬2 ~果ての森編~

「はたが何と言おうが、あの子を止められるものなどはいませんので」

 何とか言いつくろう。

「ちがいない。気の強い娘だ。我が妃の若い頃に似ている」

 さりげなく王も答えてくるが、あかるい青い瞳に浮かんでいる、無邪気な好奇心にも似た表情は消えていない。何を探ろうとしているのか、彼がどれだけのことを知っているのか、わからないが、ここは矛先をかわす方がよさそうだった。

「陛下の方こそ、どうなのです。さぞ反対があったと思いますが」

「宮廷の愚かものどものことか? あいつらは何にもわかっとらん。魔女の血を王家に迎えることよって、もたらされるものをな」

 魔法の力は、おおむね遺伝する。どこの王家も魔法使いの血を競って欲しがってきた。それもあって魔法院は魔法の血統を厳重に管理してきたのだ。それが王家にはいる。メディアの力が王家のものとなるだけではなく、将来、魔法使いの王が誕生するかもしれないのだ。それは、ウィルランドに富と繁栄をもたらすだろうか、それとも破壊を。

 しかし、王の答えはラムルダの予想を超えていた。

「余は退屈は苦手だ。人生は短い。楽しまなければ損だ。その点メディア殿がいれば、おもしろい目には不自由しないと言うのに。あの馬鹿どもめ」

「は?」

 一瞬、なにか聞き違いをしたのかと思った。