「私は別に…ただ、近くで車に乗ろうとしていたお兄さんがすごく綺麗な人だったから、
ケンちゃんの乗ってる車指差して、あの車に乗ってる人、ゲイなイケメンだから相手してやってって言っただけだもん!」
「…………………」
一同、唖然。
というか、沈黙。
誰も、何も言えなかった。
ケンちゃん(?)という人、会ったことなんかないのに、ここまで同情する経験はなかなかないんじゃないだろうか。
多分、その綺麗なお兄さんとやらは、霞さんに違いないと思う。
まぁ、霞さんはオカマだけど特別恋愛対象が男の人、というわけではないらしいから。
それにしたって、可哀相すぎる。
例外の双子がいるから、一概には言えないけど、先生があいつと親しく呼んでいることから、同い年くらいの友達なんじゃなかろうか。
そんないい歳した大人が、どう見ても年下な双子からは遊ばれ、見ず知らずの人にはゲイだと誤解されてしまうのだ。
しかも、先生の反応からして、一度や二度ではなく、日常的な物らしい。
これは、正直同情せずにはいられない。


