「お前ら、まさかまたあいつに何かしたのか?」
「ち、違うよ!」
「車の中で寝ちゃうケンちゃんが悪いんだよ!」
明らかに何かしたらしい二人は、焦った様子でわたわたと身振りを交えながら否定している。
先生も、いつものこととでも言うように、半ば相手にしていない。
「で?結局何やらかしたんだ?」
「信じてくれないのー!?」
「そういうことは、信用に値する態度を見せてから言うんだな」
ブーブー、と頬を膨らませて不満を垂らす双子は、見た目年齢より更に幼く見せている。
「そういえば、先程、操(ミサオ)様から霞さんがまだ着かないと心配されているようでしたけれど、貴女達のことと関係あるのかしら」
「理事長…?お前ら理事長にまで何かしたのか!?」
双子がやって来てから、ずっと存在を消すかのように隅で大人しくしていたシスターが、首を傾げながら言う。
それに、先生がすぐに反応を見せて、双子達に詰め寄っている。
「う、え…?か、楓!」
「私は知らないよー」
椿、と呼ばれた方――長い髪をおさげにした少女が、慌ててもう一人、楓と呼ばれた少女に助けを求めるが、つーんとそっぽを向かれてしまって今にも泣きそうな表情をしている。


