先生の秘密



「て、そんなことより。お前ら、無駄にテンションの高い女の双子見なかったか?」


「いえ、見てませんけど」


先生はその返事を聞くと、困ったように頭に手を当て苦笑いを浮かべる。


「どうかしたんですか?」


「ここにはその双子に連れられて来たんだよ。あと一人、男がいたはずなんだけど、そいつも柄じゃないって言ってすぐ別行動取りやがってさ」


そのときのことでも思い出したのか、苛立たしげに眉を寄せて舌打ちしている。


この教会は学校からもさほど近くはないし、プライベートで来るような場所ではないのに、先生のお連れさんとやらは訳ありなのだろうか。


それとも、知り合いがいるとか?


「あぁ…いや、双子がここのシスターに昔世話になったらしくてな」


私達がよほど不思議そうな顔でもしていたのだろう。


先生は気づいたようにそう言うと、ちらりと私を一瞥した。


「?」


首を傾げるも、すぐに視線をそらされてしまった。


「あおば!顔そっくりのお姉ちゃん二人なら、おれ見たよ!」


と、敦史が何故か慌てた様子で私と先生の間に入ってきた。