「チッ……すみません、渡貫先輩。お騒がせいたしました。大したことはありませんので」


「む、津川くんがそう言うなら」


どうやら津川くんの小さな舌打ちは聞こえなかったらしい。


渡貫副委員長はちらりと私達を一瞥すると、何事もなかったように学校の方へ戻っていった。


まさか学校から騒ぎを聞き付けてきたのか?


「っかぁ~~…相変わらず、いけ好かないやつ」


聖はあまり好きなタイプではないらしい。


綺麗な顔に不愉快な表情を隠そうともせず、腕を組んでいた。


と、周りを見渡すと、いつの間にかほとんどの生徒が渡貫副委員長と同じように学校へ向かっている。


「うわっ!や、ヤバいよ三人とも!」


今まで沈黙を守っていたはつかが、携帯の時間を指しながら叫んだ。


そこに表示された時間は、8時30分…。


「遅刻ぅぅぅ~~!!」



それにはさすがの津川くんも焦ったのか、四人仲良くスタートダッシュを決めたのだった。


て、結局津川くんの目的が分からなかった…。