先生の秘密



寮母の相模さんは、優しくて気配り上手の綺麗なお姉さんだ。


いつもニコニコと笑っていて、常に寮の前でほうきで掃除しているのが印象的だ。


食堂での食事も全て相模さんが作ってくれている。


何で結婚しないのか、不思議だ。


とは言っても、遠距離恋愛中の彼氏がいるらしく、ゴールデンウイーク中に会えなかった分今日一日休暇を取って会いに行っているのだ。


「そう、困ったわねぇ。私、これからまた理事長のところに行かなきゃならないのよ」


「理事長?」


「そうよ。本庄さんも知ってるでしょう?私が常陸園グループにお世話になっていること」


「もしかして、鷹将さんに何かあったの?」


「それは、さすがにね」


苦笑するゆかりちゃんに何とも言えず、沈黙する。


こういう重大なことをゆかりちゃんに話させるわけにはいかない。


ゆかりちゃんにはゆかりちゃんの立場があるんだろうし。


聞くとしたら霞さんかな。


教えてくれるとは思わないし、私にできることがあるとも思わないけど。


霞さんも剣さんも、辛いのは皆一緒なら、私もせめて傍にいてあげたい。