1997年2月3日 放課後 某小学校――――――

その日もいつものように俺はユキと一緒にいた。
今思えば、ユキは1月頃から暗かったと思う。

理由は知っていた。ユキは私立中学へ、俺は公立中学へ
2人はバラバラになるからだ。

学校が変わっても家が変わるわけじゃなし、すぐ会える。俺はそう思っていたから
とくに気にしていなかった。

その日は風がとても強かったのも覚えている。

帰り道で俺の帽子が飛ばされそうになった時だったか・・・

ユキが突然俺にあの言葉を言ったんだ。


「好きだよ」



俺は聞こえていた。

でも、どうしていいかわからなくて、答えられなかった。
だから

聞こえなかったふりをしたんだ。